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お初の職場

四日から今日まで、垂水に住んでらっしゃるとある漫画家のお宅へとアシスタントに行ってきました。
お初の職場です。

この方は、姫路の漫画家の師匠的な人で、姫路の漫画家からの紹介で仕事が入りました。
全く知らないお人のアシスタントは久方ぶりで緊張した~。
でもまあ、大阪と姫路のアシスタントで一緒の大先輩、通称ゴッドハンドと同時に入りましたので、安心感はありました。
どうも、半年ほど仕事を休んでおられたご様子で、ずっと連載があったわけでもないので、新人を一から育てることもできず、昔からずっとアシスタントに入っていた人は別の仕事を持ったりして、ベテランのアシスタントさんがいなかったらしい。
二十歳前後の若い女の子たちを、アニメーション学園の生徒さんから募集して手伝ってもらっている今回の仕事。

……原稿見たら、素人だった。

先生曰く、(こう言ったら失礼ですが) お金を払って技術を学びに行っている人はあんまり描けない人が多い。お金をもらってアシスタントに出るくらいの気持ちでやる人じゃないと全く使えない…とのことらしい。

そりゃ、そうだろうな。
お金をもらってどんどこ教えてもらえるようなことを、払って覚えるって……甘えが出るし、自分が楽しんでるだけのような気がする。学校さえ行けば描けるようになると思う節があるのだろうか。
正直、アシスタントだと仕事だから楽しくはない。けど、技術は身につく。


特に今回の仕事はハーレクインの原作を漫画に描き下ろす仕事だからなぁ。
外国の洋館。古城。宮殿。
そういうのがバンバン出てくるわけですよ。
複雑な外観、ごてごてした内装。

これって、十年やってるプロアシの人でもなかなかちゃんと描ける人っていなかったりする。
そんな建物を描くような漫画と、仕事として接してくる機会がない限り、それは当然なのですけれど。

人手がないため、垂水の漫画家は新人にどんどん貯め原稿を書かせていた。
でもやっぱり全く描けていなかった。
平行な線が引けない。
均一な線が描けない。
写真のトレースなのに、パースが狂っている。
サイドテーブルが、壁にめり込んでいる。浮いている。エッシャーの空間になっている。

ペン入れまで済んでいる原稿の修正を頼まれる。(もちろん、自分の仕事に追加して)

キーーーーーー!!!

普通に一から描き直した方が早いーーーーー!


とかとか、叫びながら今回の二泊のお仕事は終了しました。
なんだかいつもより疲れた気分です。

しかしまあ、「わぁ! すごい! きれい! 素晴らしい! 丁寧!」 と、普段の仕事では全くあり得ないほどのおほめのお言葉を逐一頂き、ちょっとホロリ(笑)。ちょこっと描いた小物だけでも手放しで褒められるこの現象が新鮮です。

褒めてください。褒めてください。
私は褒められると伸びる子なんです(泣)
(褒められ慣れてないから、かなり嬉しいぞ)

とどめが。


「ああっ しゃべれるって素敵!!!!」


と、食事のときに感涙なさった先生に、「作業が孤独なんですね?」と同情してみたら。

「違うの。最近の若い子は、ぜんぜんしゃべってくれないの~!! こっちから話を振っても一言で会話が終了だし。向こうからは絶対に話を振ってくれないし。けっこうしんどいのよ~~~」

ということらしいです。
「ああ…ちょこっとさっき会った若い人もそんな感じでしたね…」納得です。

やっぱ、同じ狭い空間にいて沈黙って辛いよなぁ。気心知れた人ならいざ知らず。
特に自分が雇い主であり、年齢差があるってのは、年上としてこうしなくちゃ!みたいな気を使うだろうなぁ。

なんだかんだと感謝されて一回目のお仕事終了です。
次は再来週また二泊。
今後も今までの仕事と被らない日程で常に仕事が入ってくることが決まりました。
新職場ゲットです~~~。

これで三か所かけもちアシスタント。
まったく仕事のない月はなくなりそうです。
ありがたや。 ありがたや。

来週は自分の原稿にかかりきりかな。

by nanamako | 2008-12-06 23:06 | 原稿の日々